映画『パラサイト 半地下の家族』ポン・ジュノ監督作品(韓国)@TOHOシネマズ

映画『パラサイト 半地下の家族ポン・ジュノ監督作品(韓国)

韓国映画は『オールドボーイ』『お嬢さん』を観たことがあり、今回本作品を観たのだが、これらの生々しさは韓国映画の得意とするところなのだろうか?たまたまなのでしょうか。

身体的な現実味があるので、観終わった後疲れる笑 すべて面白かったし、おすすめですけどね。

 

さて、パラサイト。失業中の半地下に暮らす貧しい家族と、豪邸に住む会社経営者の家族の対比が残酷なほどに描かれる。私自身は生活ぶりとして、貧乏でもなく超リッチでもなく、ちょうどその中間に属する位置だと思うので、どちらも我が身に置き換えて感じられる面がある。相対的に余裕がある者としてそうでない側に接する時もあれば、逆に富裕層の人をそうでない者として眺める時もあるからだ。自分の中にある色々な気持ち、視点を刺激されてじわじわともやもやさせられる。

 

この映画のキーワードとして「におい」があるが、彼らのにおいってどんなんなんだろう。

古い切り干し大根のような・地下鉄のにおいにも似た・半地下のにおいだよ。と言っていたが。。

スクリーンからはわからない「におい」を重要なキーにするところが憎いなあ。

それにしても、あの高校生のお嬢さんはそのにおい、気にならなかったのかしら。

 

半地下の家族の俳優さんたちは見事に貧困家庭の人間を演じ、そんなに観たことのない俳優さんたちであるということも手伝い、普段からそういう暮らしをしている人たちにしか見えない。

映画の世界につかったままで数日過ごしたのち、たまたま監督と主演のソン・ガンホさんが何かの映画祭に出席した写真を見たら、当たり前なんだけど、あの貧困家庭のお父さんではなかった笑 きらびやかな衣装を着て、髪もきれいにして、ぱりっとしてた。当たり前なのにそんな時いつもびっくりしてしまう。お母さん役の人だって、元の家政婦さん役の人だって、女優さんだから普段は美しい。本当にすごいよな。。

 

書いてて気づいたけど、この映画の中の貧しい人たちは本当は貧しいけれどそうでない顔も見せる(そのふりをしている)。リッチさと貧しさの対比だけでなく、リッチさと偽りのリッチさの対比、偽りのリッチさと貧しさの対比もあるんだな。

その場ごしらえの偽りの豊さは、すぐにでも破綻するかのようであるが、見破られることのないまま「終わり」のシーンへと進んでいく。見破られなかったことが最大の悲劇を引き起こす。薄っぺらなのにバレない。社長家族がいかに使用人を人として見ていないか、と言っているのだろうか?それとも、豊さなんて結局そんなものだと言っているのだろうか。どちらにしろすごい皮肉だ。

 

映画の紹介に「悲喜劇」とあるし、映画館でも時折くすくす笑っている人もいて、確かに笑ってしまうようなシーンはたくさん設けられているのだが、私は全然笑えなかった。どんどん暗澹とした気持ちになった。すべて悲しく感じた。(体調にもよるかもしれない。)

 

余韻が長く続き、長いことその映画のことを考えてしまう、そんな作品だと思う。