映画『きっと、うまくいく』2009年 ラージクマール・ヒラニ監督作品(インド) @Amazonプライム・ビデオ

一言で言うと、爽快。

「映画」らしい大きさを持ち、とてもチャーミングな作品だと思う。

ちょっと長めですが。その時間も損したとは思わない。

 

インド映画は観たことがなかったけど、インド映画につきものとよく聞くミュージカル部分がこの映画にもふんだんに盛り込まれており、最初のほうの、この映画の主題でもある「うまくいく(All is well)」の歌い踊りはとても楽しい。

今改めて動画を観たけど、にかにかしてしまった。もう一度観たら一緒に踊ってしまうかも笑

 

インドの大学でのお話。選ばれた優秀な人材しか行けない工科大学に異端児が入学する。学長は学生たちに競争をあおり、一番になれ、成功者になれとしか言わない。その中で異端児ランチョーと友人たちが起こす、面白くも革命的な馬鹿騒ぎは、周囲の人間たちの目を開かせていく。そしてその10年後。。

 

何というか、映画らしい大団円なのだけど、「けっ」「現実にはあり得んし」と一蹴せずにいられるのは、多くの人が通ってきたかもしれない悲しみも示してくれているからかもしれない。

貧困や親の束縛、競争社会のプレッシャー等々。。

 

子どもは優秀であればいい、成功を目指すのではなくて、優秀であれば成功は付いてくる。

好きなことをやるべきだ。

分断が嫌なんだ。

など、ランチョーが繰り返し言うメッセージが、コメディ調のストーリーを通して胸に沁みてくる。

 

私自身の生活に照らせば、子どもを育てるときに大切にしたいこととして考えさせられたし、

夫にこの映画のことを話たら、夫の働く会社に、まさにこの競争社会の犠牲になってがんじがらめになっている若手社員いるわ〜という話になった。

学歴を重視し、学歴が自分より下と目される者には、負け組だろと上から目線らしい。

そのような視点でいると、自分が思うように評価されなかったり、自分より下だと思っている者に抜かれた日には納得いかないし苦しむしかない。不幸になるシステムに巻き込まれてしまっていることに気付いていない、と…。

相対的な評価しかできないと、幸せから遠のくよね。。

子どもには、好きなことができていたら幸せを感じられるように、自分の中に基準を持ってほしい。

 

原題が“3 idiots”=3バカなんだけど、ランチョーと二人の親友=3バカが笑わせてくれ、泣かせてくれる。

友情に篤いランチョーが何度も奇跡を起こすんだけど、はっきり言って天才、導師、神みたいなランチョーがその度でっかい目に涙を浮かべるのがぐっときてしまう。

主演のアーミル・カーン、すてきですね。ピア(相手役)でなくても、ほれます!

調べたら、44歳で大学生役やってたんだな!驚き。

 

気持ちのよい映画を観たいときにおすすめです。

(私は『凶悪』で気分が荒んだあとに観て、かなり浄化されました笑)